2017-09

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塩と砂

 男が振りかえったとき、そこには真っ白な塩の柱が立っていた。一体どうしてこんなところに塩の柱が立っているのだろうか・・・男は怪訝な顔をしてその場で少しの間だけ考え込んだが、考えるのを辞めると歩き出した。

 女が振り返ったとき、そこには真っ白な塩の柱が立っていた。女はその塩の柱を見て、一筋だけ涙を流した。でも、その塩の柱がどうしてここにあるのか、そしてその塩の柱が何なのかは解らなかった。
 ハンカチで涙をぬぐうと女は歩き出した。女の心には悲しみも何もなかった。

 僕はそんな塩の柱になりたかった。一緒に歩いていようが、細胞一つ一つがその存在の意味である結合を解いて塩の柱になる。

 誰の記憶にも残らない。まるで夢から覚めて、時間が経つにつれその夢が薄れていき、突然消えるように消えて無くなる存在。

ひょっとすればそんな塩の柱になれるかも知れないと僕は砂漠を旅をした。

ある日、ベトウィンの老人と出会った。全く目の見えぬ杖を持って歩く老人だった。僕はその老人を月夜の砂漠に連れ出すと懇願するように聞いた。

「僕は見えないだろう」

老人は笑いながら「ワシはうまれてからずっとめがみえんのじゃ。ところでお前にはワシが見えるのか」と僕に聞き返した。

「見える」僕がそう答えると老人は足下の砂をかきまわすとそういうものだと僕に笑いながら言った。

僕はそれから何年も歩き続けた。そして町に着いた。真っ赤なシャツを着た男達が歩き回る町だった。そのなかに一人だけ女が居た真っ青な服を着た女だった。女は赤シャツの男達になにかを聞き回っているようだった。それも必死の形相をしてだ。

あるきにくい、まるで無節操な職人が毛足をのばしすぎたくらいに道は砂で埋まっていた。僕はその絨毯のような砂の上を、ふかふか、そしてするすると歩き僕はその女の声が聞こえるところまで近づいた。

「ねぇ、私は誰?」女はそう男達に聞いていた。だが、どの男達も女を無視して早足で女の前を通り過ぎていった。

旅で何年も人と話していないせいだろうか、僕は女に質問して貰おうと近づいていった。しかし、女は何も聞いてこなかった。

僕はその女の態度にハラが立ち、語尾を強めていった。
「どうして、僕に何もきかないんだ」と
女は答えた
「だって、あなたは私のこと知らないでしょう」
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